5gの圧


このタイトルを見て何を思いうかべるだろうか?例外もあるが、これが基本的に僕がオステオパシーに使う力である。

5gというと本当に軽い。患者さんの中には、これは気功ですか?手から何か出てるんですか?なんて言われてしまう事もある。しかし、オステオパシーは気功ではなく、物理的に骨の歪みや硬膜のネジレなどを手で検査して治療する。

何故そんなに軽くて良いのか?テレビなどでは、いかにも痛そうにバリバリ鳴らしたり、強く押したりしてるではないか。しかし、あまり強い刺激を与えると、受ける人が力を入れてしまい、うまく矯正できない場合が多い。皆さんも急に強く押されたら、体に思わず力が入ってしまうだろう。でも軽く触れられていればそんなに力は入らないのではないだろうか?その状態で力が加わった場合、簡単に動いてしまうのではないだろうか?

自談で申し訳ないが、僕は体重が90kgくらいあり、力もかなり強い方だが、ある日体重が50kgくらいの女の子と腕を組んで歩いていた時、自分では真っ直ぐ歩いているつもりだったが、気が付いてみると、その子が好きな店の方へだいぶ寄っていた。後で聞いてみると、少しずつそっちの方へ引っ張っていたそうだが、全然気がつかなかった。もし、強引に女の子が引っぱっていたら、僕は抵抗して動かなかっただろう。

まあこれとは少し違うだろうが、人間の脊柱も本人が気が付かない程度の力で適切な方向へ力を加えると、弱い力で充分矯正できるのである。逆に、強引に元の位置に戻そうとすれば、筋肉が防衛反応を示し、その位置を保とうとする。それに、人間の体は急激な変化には適応できないのである。急に気温が変われば体調が崩れたり、風邪をひいてしまう事が良くあるのは、その変化に体が適応できていない証拠だ。脊柱の場合もこれと同じで、急に曲がった位置から元の位置に戻そうとすれば、当然その急激な変化に耐えられず、逆に痛みが出たりする場合もある。

そうならない様に、人間の体は急にエネルギーが入ってくると、それを外に出そうとする。「バリット」矯正してもらい、その場ですっきりしても、またすぐに痛くなる事が多いのは、その変化に耐えられず、また悪い位置に骨が戻ってしまった為であると思われる。一概に強い矯正が悪いとは言えないが、危険が伴う事は確かだ。それよりも、ソフトにやったほうが、予後が良い場合が多かった。

そういう意味で、私は今は主に5gの圧で治療している。この強さならば、お子さんからお年寄り、女性の方でも安心して治療が受けられる。



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