web版ロール・プレイング研究
セッション3

第4回ロール・プレイング研修会

セッション1 (記録:県立横浜立野高校 赤羽三枝)

監督 伊藤寿夫

1.ウォーミングアップ(話し合い)
2.プレイ1 TVに夢中になっている母親
3.プレイ2 夜遅く帰宅した母親


1.ウォーミングアップ


伊藤(監督)  :ご案内の方に何か持ち物として問題をもって来て下さい、ということがありましたが、何かあり ましたらお願いします。私としては、いじめ問題について自分なりにまとめようと思っているのですが、いじめがどうやったらなくせるか、ということではなく、どのように理解できるか、この場だけで言わせてもらえば、場合によっては、いじめは必要な時もあります。「いじめ」という言葉は曖昧で、殺人に近い暴力行為からちょっとした口汚い言葉までひとくくりにしてしまう、よく生徒でも教員が指名しただけでも、いじめだというようなことを言ったりして、そんな風に広くしてしまうと話が散乱してしまいます。私の中にイメージとしてはあるのですが、皆さんの方で気になっていることがありましたらあげて下さい。

 〜観客それぞれが自己紹介  自己紹介を通して

観客  :クラスの中で保健室登校の生徒がいて、1年間わからずに過ぎてしまい、進級はしたのですが、これからどんな風に対応したらよいか、アドバイスをいただきたくて参加しました。

観客  :娘を寝かせるとき、寝付きが悪く、「いつまでもしゃべっているとお父さん怒るよ。」といって泣かせてしまったため、「お父さんなんて大嫌い。」と言ってねむった娘の朝の第一声が気になって、「お父さんなんて嫌いでしょ。」と声をかけたら、娘が「ううん。」と笑って答えた。ちょっとした表情、一言で人間の気持ちは変わるので、朝も娘がそっぽ向いてたらどうしようか、どんな言葉をかけられるだろうか心配だったんです。プレイを通していかに人間の感情が変わるのかを体験して頂ければ、と思います。

伊藤  :こんな形で何か一つのテーマに近づいていければ、と思うのですが。問題を捉えるとき何かを訴えようとしているのでは、と考えることが大切で、不登校について言えば学校に来させようと考えるのではなく、何を訴えようとしているのか、その意味を探る事で、目的は生徒が自分で自分のやっていることがわかって積極的に生活していけることです。場合によっては学校にもどれなくともケースバイケースですすめればと思います。最初はそんなところで思いあたることはありませんか。ロールプレイングとからめて。

林   :相手とつきあうときそれなりの相手を理解するための枠組みとかモデルとか、基本的な人間観をもっていないとふりまわされるものです。あるいは、自分のその時の感情で反応したり、相手とつきあってて傷つけられたりすると、その感情に振りまわされ相手を不信に思って、相手から嫌われているのでは、といったことだけが気になってしまい、何とか取り入ろうとしたり、それだけを探ってしまい、本当はどうしてなのかが考えられなくなってしまう。好き嫌いではなく本当はお父さんと何をしたかったのかを考えるのに、ロールプレイングはそのきっかけを与えてくれます。先ほどの話については、子供から嫌われるのではないか、ということを心配するのではなく、何故その時子供が話したがっていたのか、それを考える必要が在ります。「お父さんのこと嫌いなの?」と聞かれて子供は「嫌い。」とは答えられない。「嫌いなの?」と父が尋ねるとき、親は何を確認したいのか、その意味を考える、そういうことを考えるのにロールプレイングが在ります。

 伊藤  :ちょっとした我々の子供にたいする言葉でもどんな意味あいがあるのか「嫌いでしょ?」というのは好きだと言ってくれ、という意味か、一つの言葉を取り上げて、その言葉が持っている意味を取り上げるのはおもしろいですね。不登校を扱うにしても具体的な場面を取り上げるほかないので、先ほどのような具体的な場面もおもしろいですね。

林   :親が「心配してるよ。」といいながらも。実際は心配していないのが子供にはわかったりもする。裏の言葉の意味をとらえたりするものです。裏の言葉の意味を感じない子もいますが、子供も真剣なので、相手が本気でそう言っているのか、面倒くさいからごまかそうとして言っているのかわかってしまうかもしれません。これはどんな関係でもあると思います。

伊藤  :そう言われると生徒とのやりとりで君のためを思ってやっている、といってもそういうことではなかったり、そんな場面もおもしろいかもしれませんね。ロールプレイングのわかりやすい捉え方としては日常場面の「再現」で、再現フィルムなどという言葉もあります。再現するような場面をやって、つまり過去の場面はどんな意味があったのか、たとえば、先ほどの場面はどなたかが娘さんになり、どなたかがお父さんになって、その場面はどういう意味あいがあったのかを再現します。もう一つ典型的なのは、「実験」ですが、こういう風にやったらどうなるか、こう言ったらどうなるか、こうやったら関係はこうなるだろうと「仮説」をたて、検証していく、このように場面を設定していくのが「実験」です。場面を再現し過去を反省し理解する、もう一つは実験して仮説検証していくことです。実際はその中間ぐらいのことをやっていることが多く、こうやったらどうだろう、というところでやってます。こうしてみたら、きっと、こうなって、こういうことがいえるんじゃないか、というところが理想です。具体的に色々な場面をやってみると、色々な言葉が引っか かってくる、たとえば、親子の場面、先生と生徒の場面でも、引っかかった言葉をピックアップして、本人は意識していないがこんな意味があるのでは、等を考えられればと思います。不登校や親子の場面が話題に出ていますのでちょっとやってみたいと思いますが、両方混ぜた形でも若しくは、もっと設定しないで普遍的な形でもいいのですが、思いついたことがあればお願いします。

観客  :今、家庭自体が崩壊しているという生徒が多いのです。機能していない家庭が多いのです。拒食症の生徒がいるのですが、家に帰っても誰もいない、母は亡くなって、父は本人に母性を求め飲んで帰りが遅い、兄一人が育ててくれている、学校には来たくともガリガリでもう歩けない、学校にしがみつき学校に家庭を求めている。もう一人は、父も母も本人を放っておき、双方が勝手なことをやっていてそれが当たり前だと思っている、そういう欠損家庭が年々増えているのです。家庭に返す以前の問題だと思います。     

伊藤  :かなりシビアな問題ですね。社会の問題は広く言えば人間関係の問題、その原点は親子関係です。母と子が最初で、それから父で、その辺が原点です。そこから反映されて色々な問題が生じていると考えています。問題がわかっても教員はなかなか家庭にかかわれない状況があります。それでも何とか対応しなければならないのですが。高校になればある程度大人に近く何とか対応ができると思いますが。林さんに思い浮かぶことをあげてもらいましう。 

林   :家庭が崩壊していなくとも機能していない家庭はたくさんありますね。赤ちゃん虐待は、母親が苦しんでいるのに、家庭という単位でみると夫婦の協力ができずに子供にしわ寄せがいっている例といえるでしょう。援助交際等の色々な問題にも家族の視点で考えていくと本当はどこかで共通している点があるようです。不登校も町中で遅くまで遊んでいる子供達の中にも共通点がみつけられるのではないかと思います。そういうことにつなげて見つけていく仕方を考えられればと思います。そういうことにつなげていける見方が援助の方法につながるのではないでしょうか。その人に合った援助の仕方はその人に聞いてみなくてはわからないのですが。先ほどの生徒の例は学校に家庭を見つけることができたのだから、学校が在って良かったと思います。伊藤  :家庭や親子の面から考えてみようかと思いますが、良い親ではなくあえて、悪い親になってみて親子の関係をとらえてみたい、その中でちょっとした親の言葉がどんな意味あいがあるかピックアップしてみようと思います。

プレイ     テーマ 「親子関係」


2.プレイ 1


場面:母が家にいて子供が入ってくる場面、子供は小学校低学年、母はテレビに夢中になっている。母はしばらくしたら待ち合わせがあり出かける。  

お母さん(久保寺)   子供(古川)                                    

お母さん、ただいま。
お帰り。
ねえ、お母さん、今日学校でね、ねえ、聞いてよ
ちょっと待って。
ねえ、聞いてよ。
ちょっと待ってよ。そこにいたら見えないわよ。
ねえ、聞いてよ。テレビじゃなくてさ。
じゃあ、一緒にテレビ見ない?
今日、学校でほめられたんだから。
話は後にして。後でゆっくり聞いてあげるから
ほめられたから聞いて欲しい。
お母さん、キムタク見たいんだから。
テレビなんか消しちゃうよ。(バチッ)
どうなるかわかってるわね。テレビ消したらご飯作らないわよ。                                         ほめられたからすぐ聞いて欲しい。
だって、祐司いつもほめられているから、聞いても驚かない。ちょっとテレビ見たいんだから。                        ねえ、聞いてよ。作文が発表されるんだよ。
作文が得意なのは知っているわよ。いいからテレビつけてよ。
つけたくない。つけない。
ねえ、早くつけてよ、時間無いのよ。
つけない。
これ見たらすぐ出かけなくちゃならないから。                                                    どうしていつも用事があるの。話聞いてよ。
話はいつも聞いてるでしょ。
ちょっとだけだから話聞いてよ。
テレビ見たいの、じゃあ、ご飯作らなくてもいい。今行かないと間に合わないから、もういいわ。出かけるから。留守番しててよ。   テレビ、見ないの?
だって、祐司つけてくれないでしょ。つけてくれればもう少しいるけど。
つけるとお話聞いてくれないもん。
とにかく後で聞くから。
今聞いてくれないの?
テレビと用事は時間がきまっているから、祐司は夜時間があるでしょ。夜、ご飯食べながら聞いてあげるわよ。何かおいしいもの買ってくるから。留守番してて。
隣の健ちゃんのお母さんはいつも家にいて話を聞いてくれるよ。
だから、帰ってきてから出かけようと思ってギリギリまで待ってたのよ。じゃあ、とにかく行ってくるから留守番してて。         ちぇ、つまんないの。

感想と討論
伊藤  :子供から見てどんなお母さんだと思いましたか。

古川  :いろいろ話をきいてもらいたい好きなお母さんですが、そっけなくマイペースな親で、もの足りなさを感じました。

伊藤  :自分の方に関心をむけさせようとしていましたが。

古川  :毎度のことという感じがあったので今日はテレビを消しちゃおう、前につけても結局聞いてもらえなかったとう設定で今日は絶対つけない、という気持ちでやってみました。でも、用事で逃げられ、結局相手にしてもらえないという気持ちが積み重なっていきました。

伊藤  :テレビを消すのは勇気がいりましたか。

古川  :テレビをつけなかったのは、前につけたらテレビばかり見て話を聞いてくれなかった経験が在ったから。初めてのケースではないので、今日は絶対つけないぞ、と思っていた。ご飯作ってあげないと言われた時はどうしようと思った。

伊藤  :お母さんはテレビを消されても自分でつけなかったのは何故ですか。

久保寺 :自分の日常が出たようです。「ダメ。」と言ったら、相手が「ごめん」というまで許せないようなこだわりがあるので、あの場面では自分でつける気がしませんでした。


伊藤  :「ただいま」「お帰り」とわりと自然に始まり、テレビを見ていても「お帰り」と答えるなど最低限の対応はしていたようですが。この子供はわりと積極的でした。子供によってはもっと圧倒されてしまうと思います。御覧になった方はいかがですか?

観客  :テレビを消すと出かけてしまい、つけると見てしまう、どちらもダメだとなると一種のダブルバインディングで、テレビを壊したくなりませんでしたか。校舎に火をつけるのを思い浮かべたのですが、テレビに対する感情はどうでしたか。

古川  :小学生だったのでテレビは壊す対象にはならなかった。これで6年生や中学生だったらわからないかもしれませんが、この場面では思いませんでした。

観客  :明日また同じ場面があって同じ場面で終わっても仕方ないですか?

古川  :毎日作戦を変えるほどの年齢ではないので、又、同じ事をやるかもしれない。これまでの積み重ねで今回はテレビを消してみたので、また同じ事をするかもしれません。

観客  :良い成績を取っても母は振り向かなかった。どうしたら振り向くか、悪いことをすれば振り向くかもしれませんか。

伊藤  :そういうことも考えられますね。悪いことをしている子は振り向かせるためにやっている、それを訴えているのかもしれません。この関係を振り返ると、強い母を設定したが力関係としては子供は結構抵抗していたし、抵抗できる子でした。言葉できちんと抵抗できる子は大きな問題に至らないかもしれません。

観客  :祐司は優秀で、作文もでき、在る程度節度はわきまえている、できて当たり前、というのは母は子供を認めていることになりますか。

久保寺 :何かを見ていて出かけていくという設定だったおで特に子供との関係としては悪くはない。成績が良い、ほめられたりすることは当たり前という意識でいました。留守をまかせられる信頼の置ける関係でした。


伊藤  :一応主は子供で、子供は親の対応によって子供がどういう気持ちになるか、ということです。親を色々な親にしてみて子供の話を聞かない親の場合、子供はどうなるかという設定でしたが、あまりつっけんどんにはならなかったようですね。

観客  :まだ話を聞いてくれる親だと思いましたか?

古川  :「ただいま」に対しての返事の仕方で入り口の段階で取っつきやすい母親であるという印象を持ちました。「ただいま」の返事がなかったら少し僕の方も違っていたと思います。

観客  :お母さんが帰ったら同じ質問をするのですか? お母さんもどう対応をしますか?

古川  :「さっき帰ったら聞いてくれるよね」、という感じで、作文を見せます。

久保寺 :「ああ、よかったわね。」で、終わると思います。


伊藤  :問題が起こる前のところを考えています。たとえば、どんな関係だと問題を起こそうと考えるのか、聞いてあげない親だとどのように展開するのか、多分母親の対応、相手にしてくれていないという関係から、色々な問題が生じるということを仮説として設定してみました。聞いてあげない親をやっていると子供はどういう気持ちになるのか、ひょっとしたら学校に行かないことが起こったり、いろいろなことが起こったりするかも知れないし、そんなことはない、ということもあるかもしれません。聞いてあげない親をやっているとどうなるかこの後続けてみます。

3.プレイ 2


場面:午後10時頃にお弁当をもって母親帰宅、子供はご飯を食べていない。

お母さん (久保寺)     子供 (古川)

ただいま、留守番してた?祐司、どうしたの?お弁当買ってきたよ、約束の。                                おなかすいたもん。
お菓子あったでしょ。
だって、ママ何時に帰って来るって言わなかったもん。
思ったより遅くなっちゃって。コンビニ弁当買ってきたから、食べれば。                                     一緒に食べたい。
お父さんも帰りが遅いし、お母さんは友達と一緒に食べたから一人分買ってきたの。お母さんおなか一杯だから一人で食べて。
お母さん、お風呂に入ってるからそしたらすぐに寝ればいいじゃない。                                     さっきの話、聞いてくれないの。
寝るときに布団の中でね。今、食べれば。
話、先に聞いて欲しい。
明日早いし、もう遅いから。
お母さんお酒臭い。
友達と用事があるってさっき説明したでしょ。送別会があるって言ったでしょう。そんなこと子供にいちいち言わなくてもいいでしょう。送別会って何?
お友達が遠くに引っ越すから送別会をしたのよ。お母さん弱いからあまり飲まないけど、一杯つきあったら、勢いがついちゃっただけでしょ。早く食べて。チンしてもらって暖かいから、食べて。
もう、いらない。話聞いてほしいもの。
だから、寝るときにね。
話聞いてくれないの。
だから、寝るときに聞いてあげるってさっきからそう言ってるでしょ。
食べたくない、話聞いてよ。
じゃあ、これ明日の朝ご飯にしようね。お風呂入ってくるから。
話聞いてくれないの。
だから、寝るときに聞いてあげるって。その間にお風呂入って、あなたが食べれば、一緒に寝れるでしょう。
お母さんいつもそう、お出かけすると遅いし。寝 る前に聞いてよ。お風呂あがってきいてくれるっていっても先に寝ちゃうでしょ。
でも寝るまでは聞くわよ。
でも最後までお話聞いてくれない。
それは、眠くなっちゃうの。話がつまらないと人間眠くなっちゃうのよ。それだけのことよ。
じゃあ、もういい。
じゃあ、お風呂に入ってくるね。

感想
伊藤  :随分待って、さらに聞いて貰えない、今度は子供はどんな気持ちでした?

古川  :プレイ1では帰ったら聞いてくれるという期待があった。第一声で、さっきは急いでいたから先に話を聞くよ、という声かけを子供としては期待していたのに、帰ってきてもご飯の用意だけを強調していてとりあえず母親の役割を果たしても、一緒にご飯を食べようとか、一緒にお風呂に入ろう、という感じが全くなかったので暗い気持ちになりました。決め手としは、「つまらない話」という言葉でやる気がなくなってしまい、プレイ1より気分が暗くなってしまいました。

久保寺 :テレビを見るのではなく子供に話しかけ、母親がたくさん話をしてしまいました。子供の話を聞かない親という設定でしたが、たくさん話したことが子供に影響を与えたかもれません。プレイ1では、放っておいても大丈夫な子だったのに、母親の子への関係や気持ちは変わっていなかったのに、子供がどんどん元気がなくなってきて、明日学校に行かないといっても不思議ではない     気がしました。母親の気持ちとしてはこの子は大丈夫と思っていたのですがどんどん元気がなくなって不安になりました。とどめの言葉がきいちゃったかな、という感じがしました。


伊藤  :プレイ1では放っておいてもよいかんじでしたが、子供の気持ちはどうでしたか?

古川  :まだ期待が残っていました。
伊藤  :表面的にみるとプレイ1もプレイ2も日常的な場面ですが、改めて考えると子供はかなりダメージを受けてる、母親からすればちょっとテレビを見ていた、ちょっと送別会に出てみた、ちょっと遅くなってしまっただけなのに、関係としてみると、子供にかなりの影響を与え、子供は元気がなくなってしまいました。期待はすべてしぼんでしまったようでした。キイワードとして、「一緒に何かをしようという感じではなかった」がありましたね。「つまらない話」というのは完全に捨てられたという感じのある言葉だったかもしれません。母親が拒否的な態度の場合子供はどういう気持ちになるでしょうか。

古川  :小2としては手を尽くした感じです。1回やっただけで随分と気分が悪くなりました。翌朝、また頑張ろうという気はなく体調の変化が現れて朝暗い気分で目覚めるような気がします。学校へ行きたくなるかどうかは朝になってみないとわかりませんが。

伊藤  :二つやったのですが、やろうとしたことは親がどんな態度をとれば子供がどんな気持ちになりどんなことをやりたくなるかということです。お母さんは冷たいお母さんでも心配になっているのですが、元気がなくなってきて心配になってきたんですね。 

観客  :母子関係というより、お母さんが母親の役割をやっていなかったので、わりと女性という感じで年上の彼女が年下の彼を捨てている場面のようでした。保護もなく恋人のような対等な関係のょうでした。虐待も保護すべきものを保護の対象と見ずに殺してしまうということがあるかと思いますが、翌日から自分で保護される場を探したくなりますか。

古川  :その段階まではいっていないです。

観客  :大きくなったら同じ環境の者同志で集まり保護される場を求める感じがしますか?

古川  :プレイで隣の健ちゃんのママはよく聞いてくれる、健ちゃんの家に遊びに行っていい、というようになるかも。自分の家には帰らず隣の健ちゃんの家に家庭を求めるかもしれません。あるいは学校以外に家庭的なものを求めるかもしれません。自己紹介の時、娘との話をしましたが、これを毎日繰り返したらどんな風になっちゃうのかなと考えました。

伊藤  :日常では問題を含んだ行動を親でもやっていると思いますが、いつもいつも同じ場面を繰り返すわけではないので何とかそこまでいかないのですが、家庭で見放された気持ちになったらどこかにそういう場所を見つけようとしたり、誰かを探そうとするようになることは容易に考えられます。いろいろな現象はもしかしたらこういうところから起こっているのかもしれません。最近では下火になりましたが、オウムなどもそうなのですが、宗教的なものに入っていく、宗教には家庭のようなモデルがあり、家庭とか親とかを求めてやっていますよね。それが問題かといえば問題でないということもあるかもしれませんが、どこかそういうものを求めているところが在るかと思います。場合によっては学校のどこかにあるのかもしれません。皆さんも、色々な感想を持たれていることと思いますので、感想をかみしめていただいて次のセッションでは、感想から入りたいと思います。                                  

1.ウォーミングアップ 2.プレイ1 

3.プレイ2

web版ロール・プレイング研究
セッション3