5月野鳥記

98年5月

21日 晴れ
馬渡橋 16:40
キアシシギ1、浅瀬で水浴び。

大庭遊水池  17:15
オオヨシキリ、セッカあちこちで鳴いている。ホオジロのさえずりは一羽だけ。導水路にはタシギ1。まだ明るいのにずいぶんさかんに泥をつついて、採餌。10分くらいするともう一羽登場。こちらはじっとたたずんでいる。20分間にカワセミ4回登場。同一個体かどうかは分からない。一度だけダイブ。遊水池ではツバメより、イワツバメの方が圧倒的に多い。 

16日 曇
湘南台高校 11:00
落ちたスズメの雛を、高校生が拾ってきた。どこで拾ったか聞いて、巣をさがしたが建物の高いところにあり、届かない。

大庭遊水池 17:30
バン1、今日はずいぶん近いところに出てきた。タシギ2、茅の根元でじっとしている。一羽はさかんに羽つくろい。ヒクイナ1、タシギのそばに現れる。初認。オオヨシキリ、遊水池全体では15くらいかな。セッカ2。ウグイスのさえずりが遠くから聞こえる。コガモの姿は見えない。渡去?

12日 曇。週間天気予報では雨の日が多い。梅雨の走りのような陽気だ。
大庭遊水池14:30
オオヨシキリ、橙赤色の口中を見せて鳴いている。遊水池全体で10くらい囀っているか。ヒバリ、囀り。セッカ、囀り。コチドリ、ピォ、ピォと鳴きながら飛び回る。尾の短いツバメみたいだ。ゴイサギ1、導水路に張り出した枝にとまっている。しばらくじっとしていたが、こちらが動いたら、飛んだ。コガモ9、オス2、メス7。まだいるという感じ。トビ1が近づいてくると一斉に飛び立つ。ダイサギ1、水をつつくが不成功。夏羽になっている。嘴は黒、目先は緑。バン4。泥露出部を歩きながら採餌。4羽いるのは珍しい。カワセミ1、藪の中に飛び込む。カルガモ4。中型のシギ類1、ピュイ、ピュイと鳴きながら飛ぶ。

7日 久々の観察。曇。
円行新橋 17:00
コガモ3。水面採餌。オス1、メス2。

馬渡橋 17:10
砂州にキアシシギ1。白い眉斑と黄色い脚が印象的。イソシギ1。こちらはやや小ぶり。

大河内橋 17:20
キアシシギ1。ムクドリ20水浴び。

大庭遊水池 17:30
セッカ2、さえずりで上昇下降。オオヨシキリ全体で10くらいいるか。さえずりがまだ整っていない感じ。バン3導水路を横切って行ったり来たりしている。タシギ1茂みの下を動かない。キジ、ウグイスの声が聞こえる。イワツバメ、ツバメ上空を多数。カワセミ1帰ろうとしたら出てくる。双眼鏡を出すひまもなく飛んでいく。


97年5月
1日 長久保公園  
植裁迷路の中でオオヨシキリさえずる(初認)。公園前の川面にはコガモ2、まだ帰らない。

3日 日の出橋    
橋下にイワツバメのコロニー。10巣ほど。今年は円行付近であまりイワツバメを見ない。

7日 秋本橋     
と思われる鳥影。確認はできない。昨日の強風で海から飛ばされた?

8日 円行公園    
公園下道路の桜の中でオオヨシキリさえずる。前後3日ほどいた。

12日 馬渡橋     
イソシギ2。コガモの姿は見かけず。渡去? 
  

20日 円行新橋から下流に向けて。
 馬渡橋コサギ1、天神橋コサギ1、山田橋アオサギ1、秋本橋コサギ1、石川橋コサギ1。約100bごとにコサギ4、アオサギ1。

22日 秋本橋      
 工事中の橋下砂州にキジ雌1、幼鳥4。こちらの自転車に驚いてちりぢりに逃げる。親は擬傷。「焼け野の雉(きぎす)子を思う」の言葉通り、見事に幼鳥を逃がしました。

30日 藤沢北高    
 水量の少ないところでアオサギ採餌。ま後ろの石の上に、ハシボソガラスがぴったりとくっついている。餌の横取りをねらっているのか?確認はできず。


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オオヨシキリ初認

 前日4月30日横浜市戸塚区金井の柏尾川でさえずりを聞いている。これが、私にとっての初認。

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カワウ
> 黒色で大型の水鳥。嘴の先がカギ形に曲がり、その根本は黄色。留鳥として生息し、湖沼、河口等で生活し、水辺に近い樹上に集団で巣を作る。東京都の上野公園不忍池と浜離宮のコロニーは貴重な存在である。本県では少ない鳥であったが、近年は多摩川、鶴見川で50羽を越すような群が観察されることが多くなった。相模川など県西部でも観察の機会が増えている。潜水を繰り返し魚を捕まえ、頭から丸飲みしたり、ブイの上で翼を乾かして日光浴をしている例が観察されている。なお、ウミウとの野外識別には十分な注意が必要であり、東京湾などでは両種を同時に見る場合もあると思われるので、慎重に記録したい。<
   (日本野鳥の会神奈川支部編『神奈川の鳥1986−91 −神奈川鳥類目録II−』)

 神奈川では、ウミウは越冬期にいるもので、カワウに間違いはないと思うけれど、なにしろ飛んでいく後ろ姿しか確認できなかったものだから、ここでは単にウとしときます。それから、この『鳥類目録』は神奈川の鳥見人には必携書。IIIが近々出るはずだけど、どうせのことなら、web版も出してくれないかしら。ところで、こうやって引用するとき、出典を明記すれば許されるものなのかな。

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渡去

渡去の判断は難しい。いないことをはっきりさせるのってたいへんですよね。 よく新聞に犯罪者の職業が書いてあって、「自称芸術家」とか、あります。職場の人が言ってたんですが、「この表現は他の誰も彼を芸術家と認めていないと言うことを証明しなければならない」って。夏鳥ツバメ(今年の円行付近初認は3月20日←ここ3年では一週間早かった)が渡来すれば、冬鳥は交代で引き上げるのかと思ったら、そうでもないみたい。オナガガモは4月あたまごろには見られなくなりましたけど。

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擬傷について

> 鳥類の示す特殊な行動の一つ。地上に単独で営巣する鳥に主に見られるもので、卵や雛のいる巣の近くに人間や捕捉獣が来ると、地上でバタバタ動きまわる行動。敵がその動きに注意をひかれて近寄ると、次第に巣から遠ざかって行き、最後に飛び立って行く。その結果、敵に卵や雛が発見されるのを防ぐ効果を持つ。その行動が傷を負って飛べないかのように見えるところからいうが、親鳥が意図してやっていることではなく、本能的に敵から逃げ去ろうという行動と、巣の近くから離れまいとする行動が、同時に出現するために起こるとされる。<(小学館『日本国語大辞典』)

 22日の事例は、最後の一文、「敵から逃げる行動と、巣から離れまいとする行動」という推測とは、あきらかに違うと思う。と言うのはキジのいた場所は雨が降れば水没するところで、ここに営巣するのは不可能であるからだ。逃敵・守巣本能の複合というのは、いかにもありそうな説だが、フロイトのコンプレックス説の焼き直しみたいで、面白い。鳥類心理学なんてのがあるのかしら。

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引地川野鳥記
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