アリイの24系25形ブルトレ客車に手を入れる。

今では1両あたりの単価がずいぶん高くなって、手が出せなくなってきた16番ですが、 KATOやTOMIXの進出により、比較的安価な車両も出てくる様にはなりました。しかし、 機関車はともかく、客車が1両5000円以上(オハ12は4600円ですけどね)となると、 なかなか編成で揃えるのも楽ではありません。(走らせる場所の問題もありますが)

さて、16番のプラモデルはとみると、アリイから24系25型ブルートレイン用客車が発 売されています。以前は未塗装で、台車や車輪までもがプラ製の組立式(今でも手に 入ることがあります。1両1000円弱)でしたが、5年程前から車体は基本塗装済、台 車もダイカスト製のものに変更された改良品となり、代わりに1両2800円とずいぶん 高価になってしまいました。^^; しかし、2800円で客車が1両購入できるのは現在日 本で一番安いと言えるでしょう。しかも、量販店などでは20%OFFとかされていますし、 フジモデル(北千住駅徒歩10分弱)では30%OFF、10両以上だと40%OFF(注:会員特 価)で買える所も出てきています。最近在庫処分のためか、鉄道模型ショー開催時に 特売会場で税込1000円!で売られていたり、探せば結構安く入手が可能な様です。
ただ、そのままではちょっと不具合もありますので、簡単な加工を行なって最低限走 行性能だけは遜色ない様にする為の手法をこれから紹介いたします。


工作に必要な物(工具、アリイの車体の他)


私はもったいないといえばそうですが、台車を交換してしまいます。その為に新調す る台車とボルスター、および床板も一部作り直しますので、その為のプラ板を用意し ます。また、カプラーも(こっちは必須)交換しますので、中間にはドローバーを、 (こちらは何でもいいが、固定編成ですし、途中で(不)自然解放してしまわない方 がいいと思います)両端、および基本編成と付属編成の間はKATOカプラー(ケーディ カプラーでももちろん可)を用意します。ミクロウェイトは補重用です。他に色入れ の為に水性アクリルの白、灰、赤、黒を、ナンバー入れ用のインレタ、列車名のシー トを用意します。

状況に応じて用意するものはその都度本文中に記載します。


車体への加工

まず、アリイの車体について気になる所を述べてみます。

などがあげられます。
ヒケはプラ製品である以上やむを得ない(大抵のプラモデルにはヒケがあって、 パテで埋めて修正したりします。)と言えます。段差については改良して欲しい 所です。今回は塗装済製品をなるべく手をかけずに作ることが目的ですので、そ のまま目をつぶります。気になる人は未塗装の旧品を入手してヤスリ直すとよい と思います。その際後の問題も削り落として後パーツ等を追加することで対応で きますが、KATO製の20系寝台客車の方が安くつくことになるかもしれません。:-)
開いてない窓穴はあければ解決ですが、逆に窓ガラスをどうするか考えないと厚 みがあるので目立つ結果となります。私は塗装でごまかしました。(後述)
オシ24の妻面の問題は、この製品が何度も生産されたことによる金型の劣化によ るもので、どうしようもありません。未塗装の旧品にも末期の生産はそこまでひ どくないものの、傾向がすでに見られます。目をつぶるか、旧品を塗装するか、 (私は別の理由もあってこっちにしました。)オシ24の入らない編成にするかで しょう。
屋根については一色塗りで手間も少ないので、湯口やバリはカッターで削り取っ てしまって、GM製の缶スプレーでねずみ1号を吹いてやればよいでしょう。この 時、屋根のヒケもついでにパテで埋めて修正するのもよいかもしれませんね。
デッキ面の貫通扉は嘘(実物にはない)ですが、私はそのままにしました。気に なる人は窓と同じく開けてもよいでしょう。
台車の中心間隔が広いのは、室内に関係します。台車を止めるネジは長ネジで、 それがそのまま室内を貫通して屋根を止めるネジとなっています。一応ネジが通っ ているのを見えない様にするために室内に大きな柱が立ってますが、その関係で (見えにくい位置にするために)端に寄っている様です。車輪については交換す るしかないですが、台車をまるごと交換することにしました。この為、屋根を止 める手立ても変わりますので、私は接着してしまっています。

さて、具体的な加工についてですが、台車を交換することで、車体の取付部分も 含めて新規となりますので、車体と一緒になっている床板を側板から5mmの位置 でPカッターで切り欠いてやることで切り落とします。5mmほど残すのは新しい 床板を取り付ける為のしろで、ここに2mmのタップを立てて2 x 4 mmネジで取り つけられる様にします。
床板は事実上3分割となり、中間部分はは付属の床下機器がモールドされたもの をそのまま接着しますが、付属の鉄板だけですと軽過ぎて脱線しますので、モー ルドの空間にミクロウェイトを詰め、上からまず瞬間接着材を流した後、鉄板を 張り付けて透き間をエポキシ系接着材で封印して詰めたミクロウェイトがこぼれ ないようにして補重とします。これで結構重くなります。これを所定の位置に接 着すれば加工はおしまいです。



床板を作る

台車の振替と合わせて、本来の床板を欠き取ってしまいましたので、1.2mm厚プラ 板から作ります。カニ24以外の車は59mm x 32mmの長方形のものを1両あたり2枚、 カニ24については61mm x 32mm の長方形が1枚(荷物室側)と、折り妻になって いるので、 58mm x 32mm の長方形に4mmほど台形部分がつく感じ(62mm x 32mmで 切りだして原物合わせで折り妻の断面に合わせる)の物を作ります。
台車を止めるセンターピンの穴は車体端から40.625mm(3250mm)なので、端から 39.5mmの所に2mm穴を開けます。カプラーは車体端から6mmの所にあければKATOカ プラーおよびドローバーで半径600mmを通過できるので、端から5mmの所に2mmのタッ プを立てます。(ドローバーで半径450mmを通したい場合には4mmの所としますが、 KATOカプラーはポケットが当たって取付はできなくなります。他に4角(カプラー 側はカプラーと台車の間で止める様に穴を開けるとよい)に2mmの穴を開けて、車 体へのネジ止め用とします。床板に穴を開けてからガイドにして車体にタップを 立てると失敗しなくてすみます。

床板(1.2mm厚プラ板より)(カニ24を除く)

 |←─────── 59mm ───────→|
 ┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓──
 ┃  +               +┃ ↑
 ┃                   ┃ |
 ┃                   ┃ |
 ┃                   ┃ |
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 ┃                   ┃ mm
 ┃                   ┃ |
 ┃                   ┃ |
 ┃  +               +┃ ↓
 ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛──
→||←
5mm(カプラー用)       注)+は車体取付用ネジ穴位置
 |←──────────→|
  39.5mm(センターピン用)
穴を開けたら台車をセンターピンで止め、カプラーもドローバー、KATOカプラー はそのまま付属のネジで止めます。ケーディカプラーを使用する場合には#5を1mm のスペーサーを噛ませて2mmネジで止めます。片側の台車のセンターピンのバネを 半分にカットしておくと、台車の線路への追従がよくなり、脱線しにくくなります。



車体への色入れ

塗装済とは言っても、屋根を灰色に、車体を青と帯に銀を入れただけですので、 そのままではなく、細かく色入れをする必要があります。
まず、白を方向幕、便所/洗面所の窓、出入口デッキの上の設備表示窓に入れま す。カニとオハネフは後位妻面の愛称幕表示器にも入れておきます。
続いて灰色をドアの窓、方向幕、便所/洗面所の窓、出入口デッキの上の設備表 示窓のHゴム部分に入れ、ホロと貫通扉も灰色に塗ってしまいます。実物は貫通 扉はカニを除いた車が灰茶色、カニは灰緑色ですが、似た色もないので、灰色で ごまかしています。オハネフ/カニの貫通扉を除く妻面窓もHゴムの灰をいれます。

他にはオハネフ/カニのテールライト(形状がゴツく、気になりますが、塗装を やり直すわけにいかないのでそのままです。)と側面のドア開表示灯に赤を入れ、 オシの厨房のサッシとカニの窓(サッシ表現されていないのでフリーハンドで) に銀を入れれば終了です。

室内は私は気にいらないのでつけていません。つけたい場合にはクリーム色(GM のスプレーの西武アイボリー)を吹いてシートに青を入れる(ハネ)、茶色を吹 いてシートをグリーンに塗る(オロネ)、薄緑色に吹く(カニ)など塗装してや ります。その際、組立順序が変わりますから考えてから組み立てて下さい。(す べての塗装を終えて、窓ガラスをいれてから組み立てる必要があります。)


組立

色入れが終了したら組み立てます。床下機器ブロック、屋根を接着します。ラッ カーシンナーを筆でさっと流して(多く付け過ぎると表面に染みだして悲惨なこ とになりますので気をつけて)溶着させます。床下機器ブロックはさらにエポキ シ系接着材を流して置きます。もし室内装置をいれる場合には、窓ガラスも一緒 に組み立てないといけないので、ディテールの追加とクリヤーを吹いてから最後 に組み立てます。


ディテールの追加

ディテール追加と言っても、車両番号や標記をインレタで入れるのと、両端の愛称 幕の所に列車名を入れる程度です。インレタはちょっと前までこみやのがありまし たが、廃業してしまったので、残りが処分価格で売られているか、入手不可能です。 代わりに最近エンドウから発売されました。妻面の標記にはKATOから20系用に分売 されているのが便利です。ナンバーも使いたい所ですが、重量標記(20系はナ、こ ちらはオがほとんど)が違うので使えないのが残念です。
インレタと共にカニ、オハネフの妻面に列車名を入れます。エンドウとモアから24 系用が出ています。1979年夏以降の絵入りのものになっています。アリイの表示器 の窓が実物より小さくなっていますので、うまく合うようにカットして張り付けま す。

以上が終了したら、インレタの剥がれを抑えるためにもクリアーを全体に吹きます。 プラ用カラーで塗装されていますので、水性アクリル系のトップコートなどがよい でしょう。参考までに、プラ用ですらないラッカーのクリアーでも問題はありませ んでしたが。。。
クリアーを吹き終わったら窓ガラスを填めてラッカーシンナーで止めて完成です。 カニの荷物室ドアの所には防護柵(ピノチオ製)を入れてみるのもよいでしょう。

以上で終わりです。色入れが一番手間と時間がかかります。(水性なので)機関車 も同様にアリイのプラモデル(EF58、EF65PF、EF66がラインナップにはあります) から作る方法もありますが、こちらは塗装済のものはなく、動力回りを全て新調す るなど手間暇コストがかかりますので、KATOのEF65Pを始めとしてEF58やDD51 を買う方がてっ取り早くてよいと思います。(客車編成のコストを下げていますから、 2万出せばおつりのくるKATOの機関車を奮発しましょう。^^;)

1両あたりの費用は 車体(定価2800円)+台車(1100円)+カプラー(220円)+材料費+塗料で、定価 で計算するとKATOの12系と同程度になってしまいます(台車が高いです)が、車体 をいかに安く入手できるかでどれだけコストダウンできるか決まるでしょう。ある いは台車もうまく使ってしまえばもっと、、、


グレードアップ?(私の場合)


編成例など

アリイの24系25形寝台客車は、実物のうち、1976年10月改正で「はやぶさ」「富士」 「出雲」の置き換えに登場した100番代車をモデルに作られています。よって該当する のはオハネ25 101〜246、オハネフ25 101〜157、オロネ25 1〜12、オシ24 1〜5(この 車のみ流用のため1973年製の24系客車)、カニ24 9〜25となります。また、1978年に 登場した14系15形寝台客車のうち、オハネ15 1〜42とオハネ25 100がほぼ同一形態と なっています。カニ24は1977年10月用増備車から切り妻の100番代になり、オハネフ25 も1978年2月置き換え用増備車から再び方向転換可能で折妻の200番代(スハネフ15も 同形態)となっています。以来ほとんどの車がJR化時に配置分担された他は担当を動く ことなく使用されてきてまして、フル編成としてはやはり上記「はやぶさ」「富士」 「出雲」の

  「はやぶさ」「富士」
←西鹿児島      東京→
 12345678910111213
カオオオオオオオオオオオオオ
 ロハハハ ハハハハハハハハ
ニネネネネシネネネネネネネネ
      フフ   フ フ
2425252525242525252525252525

  「出雲」
←浜田      東京→
 1234567891011
カオオオオオオオオオオオ
 ロハハハ ハハハハハハ
ニネネネネシネネネネネネ
      フフ   フ
242525252524252525252525

ということになります。この編成は1978年2月の博多「あさかぜ」置き換えで7号車の オハネフ25を200番代に、オシの所要両数の関係で5号車のオシを8号車のオハネと入れ 換えているので、それまでの編成となります。牽引機はEF65P(またはPF)です。
7号車のオハネフ25に目をつぶれば博多「あさかぜ」も「はやぶさ」「富士」と同一編 成となります。
1978年7月から牽引機のEF65PはEF65PFに置き換えとなります。
この編成は1986年11月改正のロビーカー(「はやぶさ」「富士」)、カルテット(「あ さかぜ」)連結まで続きます。

カニが100番代であることを除けば、1977年10月改正で置き換えの下関「あさかぜ」「瀬 戸」「安芸」も

  「あさかぜ」「瀬戸」
←下関・宇野     東京→
 12345678910111213
カオオオオオオオオオオオオオ
 ハハハハハハハハハハハハハ
ニネネネネネネネネネネネネネ
      フフ     フ
2425252525252525252525252525

  「安芸」
←下関   新大阪→
 123456789
カオオオオオオオオオ
 ハハハハハハハハハ
ニネネネネネネネネネ
         フ
24252525252525252525

で実現できます。牽引機は「あさかぜ」「瀬戸」がEF65P、「安芸」はEF58となります。

一切気にしなければ、、、なんでもありですが。。。^^;


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