オステオパシーのテクニック PART4
〜筋エネルギーテクニック〜


ほとんどの人は自分の筋肉を左右対称に使っていません。人間には利き手があるので、日常生活ではどちらか片方ばかり使う事が多いですし、ほとんどの仕事もその職業特有の体の使い方をしています。偏った体の使い方をすると筋肉がアンバランスになり、体が固くなってしまいます。体が固くなってくると、背骨や関節がズレてしまったり、可動域が狭くなってきます。

仕事で手を使いすぎたため、肘が曲がった状態で固まってしまい、伸ばそうとすると痛みが走るという症状の方が来られたことがあります。このような場合は、力こぶと言われている上腕二頭筋が緊張して短くなっています。逆に、上腕二頭筋の裏側の筋肉の上腕三頭筋は伸びて虚弱化しています。また、可動性が減少しているため、周りのスジや靭帯も硬くなり、肘や腕がうっ血して腫れている場合も多いのです。こういう場合、上腕二頭筋を伸長し、上腕三頭筋を強化し、肘関節の可動性を回復させ、その周辺の血液循環を良くすればよいわけです。

筋エネルギーテクニックを使えば、これらの事が一度に出来ます。患者さんに協力してもらい、上腕二頭筋に対しては等尺性収縮(筋の長さは一定で筋収縮を起こさせること)を利用して治療します。この場合、患者さんの肘関節を伸ばしていき、それ以上伸びなくなった所から腕を曲げてもらうようにします。これを何回か繰り返します。そうすると、短くなっている筋肉は伸長されて、筋緊張も取れてきます。上腕三頭筋に対しては、等張性収縮(筋肉が長さを変えながら収縮すること)を利用して患者さんに腕を曲げてもらい、そこから腕を伸ばすように力を入れてもらいます。その時、今度は患者さんが腕を伸ばせる程度の抵抗をかけていきます。これも何度かやると、上腕三頭筋が強化され適度な長さになり、筋が強化され上腕二頭筋と上腕三頭筋のバランスがとれ、スムーズに腕を伸ばせるようになります。わかりやすい例として肘に対する治療を解説しましたが、このテクニックは背骨や他の四肢関節に対しても有効です。

筋エネルギーテクニックは、背骨や関節だけでなく、その周りの筋肉のバランスも調整します。ダイレクトに関節を動かしますので、かなり固まっている関節でもスムーズに動かせるようになります。この方法は即効性があり、かつ治療効果が持続します。筋エネルギーテクニックは、急激なスラスト(首をひねってバキっといわせるような方法)などもありますが、私はこの方法は使いません。



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