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グルテン
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コムギ粉を水で捏ねた生地を、ぬるま湯の中で揉んでいると、でん粉が洗い出され、その後にガム状の物質が残ります。これをグルテンとよんでいます。
注)グルテンの採り方の詳細
グルテンはコムギ粉の中に最初から存在する物質ではなく、加水とミキシングにより初めて形成されます。

その形成のメカニズムは、コムギ特有たん白質(グルテニン、グリアジンなど)が水を含んで膨潤し、ミキシングの進行とともに絡み合い繊維状の立体構造を形成すると考えられています。(図 3 参照)

コムギ粉の生地は薄く押し広げたり細く引き伸ばしたりすることが出来ます。このような性質はグルテンの存在に負う処が大きく、他の穀物の粉には見られない特徴です。

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動画:引き伸ばされてゆくグルテン。
引き千切られるまでの状態の変化。
.....図 1 グルテンを引き伸ばす
...図 2 グルテンをフックに吊るして
”伸び”を比較
* 
 物理性(伸展性、弾性)が異なる例
@:伸展性小、弾性大

A:伸展性大、弾性小
B:伸展性更に大、弾性更に小

*  丸めて微温湯中で寝かしたグルテンを太い針金のフックに架けて約1時間後の状態。

引き千切られた瞬間の静止画。
繊維状の組織が見える。
ここで用いたグルテンは右の図2の@に近い物理性(伸展性小、弾性大)のものです。

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図 3 パン生地中のグルテン・ネットワーク
繊維状の立体構造(走査電子顕微鏡写真)
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@網状に分布するグルテン
A大粒でん粉
B小粒でん粉
Cイースト
イーストの周辺は空洞状、醗酵で発生した炭酸ガスの圧力で生じた気泡と見られる。
ミキシング進行中も醗酵は進行しているが、この気泡はミキシング終了後に発達したものであろう。

網状に分布するグルテンのネットワークは、先ずミキシングで形成され、次いで、醗酵で生ずる気泡により、構造は更に細かくなってゆく。

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図 4 グルテン(水で飽和された状態)の.
グルテンは偏光を透さず暗く見える。その中にあって白く光り偏光十字像を示す粒子は小さいでん粉粒。

冒頭に述べた通りグルテンの主成分はたんぱく質だが、少量のでん粉粒や皮部破片あるいは脂質などを含む混合物である。
このうち、でん粉粒は偏光顕微鏡で簡単に存在が確認できる。

写真のグルテンは充分にでん粉を洗い出したつもりだが、まだ小粒子でん粉がかなり残っていることが分かる。

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注) グルテンの採り方(量は一例):
強力コムギ粉*(25g)を小型ボールにとり、水(14.5ml)を加えて捏ね、団子状に丸めて、約36℃の微温湯を加え、30分間ほど寝かしてから、大型ボールの微温湯の中で、掌と指を使って揉んで、でん粉を洗い出して行くと、グルテンはガム状の塊(かたまり)となって分離する。この塊を絞って落ちる水がほぼ透明に見えるようになったら分離作業は終了。
*グルテン含有量が多い強力粉〜準強力粉のほうがグルテンを採りやすい。グルテン含有量が少ない薄力粉は採りにくいので、慣れないうちは避けたほうが良い。

Copyright © 2009 Akira Fukuchi

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